フリーランスの見積もり作成術~金額設定のコツ

フリーランスになると、自分の金額を自分で決めなければいけません。僕は制作会社でWebディレクターをやっていたので、なんとなく費用感はわかっていましたが、それでもフリーランスとなると更に細かく気を遣う必要があると感じました。

自分もお客さんも納得する、そんな見積もりの出し方を日々考えています。そして何より、いい仕事をする。悪い仕事、悪いクライアント(失礼な言い方ですが、実際にいます)はお断りする意味でも、最適な金額をつけられるようになりましょう。

※あくまで1フリーランスの方法なので、これが絶対正しいわけではないです。少しでも参考になればと思います。

ちなみに、見積もりに使うWebサービスはmisocaがオススメ。

その他フリーランスの作業効率化に便利なWebサービスは下記記事にて紹介しています。

https://meshikui.com/2018/03/13/182/




自分の1日の価値を決める

まずはここからです。例えば1日8時間働くとして、自分の時給を自分で決め、時給×8で1日の値段を決めます。これは、1人日(いちにんぴ)という考え方です。技術者の場合は、人日(工数とも言われます)が基本単位となります。

金額は何の仕事をメインにしているかにもよると思いますが、IT系の場合はだいたい、1時間5,000円で1人日40,000円くらいがフリーランスのスタンダードな気がします。相場を知る方法は以下の記事を参考にどうぞ

フリーランスになったばかりだと、イマイチ相場がわからずにクライアントに提示された値段でそのまま受注しがちです。 もしくは、自分がこの相...

1人日が決まったら、あとは作業時間に応じて詳しく値段をつけていきます。ただ、実際に見積書に人日を書く必要はなく、そこは円だけでいいと思います。お客さんは「だいたいそのくらいの時間なのか」と思ってしまいますが、実際は時と場合、その人のスキルによって変わりますし、あくまで目安としての人日計算でいいんじゃないでしょうか。

いつもやっているようなことは、ある程度値段を決めておく

開発といっても例えば、HTMLコーディングやWordPressの初期設定など、だいたいいつも決まってやっていて、内容があまり大きく変わらない作業があると思います。
そういった作業は、最初からある程度値段を決めておきます。もちろん、単位は”円”ではなく”時間”です

例えば…

  • トップページコーディング…1.5日
  • 下層…2時間
  • WordPressテーマ基本設定費…1日

といった具合に。これには、いくつかの理由があります。

企画段階では、ページ内容がどれくらいあるかわからない

ページの内容によって、だいたいこのページはこれくらいの値段だろう、と毎回見積もりの度に調査していては、見積もりだけで1日つぶれることになりかねないし、効率的とはいえません。ましてや、どのページがどれくらいの量ありますか?と聞くのは、お客さんにとっても面倒だし、正直そんなの誰もよくわからないです。

なのでここは、ざっくり1ページ2時間かかることにして固定で出してしまったほうが、スムーズにいきます。全ページが2時間以上かかることは、まぁそうないと思います。

もちろん、1ページ完結型のサイトも珍しくありません。その場合は見積もりを作ってくださいと言われた段階でわかると思いますので、臨機応変に対応しましょう。

いつもやる作業は、作業時間が短くなる

はい、これとても大事です。

HTML/CSSコーディングなんかはそれはもうひたすら毎日のように書き殴るわけですが、書けば書くほど、コーディングスピードは当然速くなっていきます。

もしくは、sassやemmetを学び急激にスピードアップすることもあるでしょう。SMACSSやBEMなどの設計方法を学べば、効率よくコーディングできるようになります。

そう、経験値が増えてレベルが上がると、コーディングにかかる時間は減るのです。そんなとき、かかる時間を毎回計算していたらどうなるでしょうか。がんばって勉強して速く作業ができるようになったのに、値段が安くなるというわけのわからないことになりかねません。

もちろんこのあたりもうまく加味した上で計算できれば最高ですが、なかなか難しいので最初から決めておいたほうが無難です。

作業によっては値段を変える

上記で値段を決めておけと言ったにも関わらず、今度は何を言っているかというと…

ひとえに制作といえど、いろんな種類の作業がありますよね。例えば以下のような要件があるとします。

  • HTML/CSSコーディング
  • PHPプログラミング
  • 顧客データ入力2,000件

この場合、コーディングとプログラミングは1時間4,000円で計算したとして、顧客データ入力2,000件も同じく計算したらどうでしょう。だいたい2日かかるとしたら、顧客データ2,000件入力するだけで64,000円かかることになりますね。どえらいことです。普段高額な仕事を請ける方は麻痺しているかもしれませんが、64,000円は一般的な家賃くらい払えます。

要は、作業にも専門家しかできない作業から誰でもできそうな作業までピンキリなので、全部同じ値段で出していたらお客さんが納得しないことがあるでしょう。

納得できないなら、その部分は他に回してくださいと言えるなら全然それでいいんですが、(データ入力ならそれでいい気もしますが)なかなかそうもいかないので、値段を下げたほうがいいでしょう。

ただし、もし同じ値段でお客さんが納得してくれたら、外注に出しちゃうというのも手です。それであれば、外注時におけるディレクションも含めた自分に対する値段ということで無理やり自分も納得できますしね。

もちろん、場合によっては値段を高くしてもいいと思います。最終的に「自分もお客さんも納得できる値段」に持っていければ勝ちです

自分のやる作業を決めておく

上記の作業ごとに値段を変える、という件のおまけ的な話ですが、自分がやる作業を決めておいて、それ以外はやらない、というスタンスでいるのも大事です。

例えば僕の場合、デザインはやりません。できないわけではないんですが、できないわけではないレベルで仕事をするというのは、良いことは一切ない(時間かかる、質が悪い、イメージが悪くなるetc)ので、得意なこと、お任せくださいといえることだけでお仕事をいただいてます。

ただし、データ入力のような「ファッ!?こんなん誰でもできるやろなんでやってくれんのや」と、それはまぁおっしゃる通りだというようなことを言われたときに「僕はやらないんです!!!!」と言えるような強靭な精神を持っていない限り、ある程度許容範囲は広く持っておいたほうがいいでしょう(笑)

対応範囲、及び仕様をあらかじめ伝える。

これも、慣れないうちはなかなか難しいと思うのですが、大事です。

例えばトップページコーディング4時間としたとき、いざデザインが来た段階でもうjavascriptアニメーションがとんでもなかったり、SVGがすんごい動いてたらどうしましょう。やばいですよね。

なので、見積もりの段階で※javascript等のアニメーションが複雑な場合は、料金が変更になる場合がありますと注釈を書いておきましょう。

お問い合わせフォームも、単純なものであればプラグインでできますが、選択によって内容が変わったり、予約できる日時を管理画面で編集できたりという要望があとから来た場合「いやーそれはちょっときついっす…追加料金と時間をいただければなんとか…」とはならない場合が多いので、あらかじめ※特殊な仕様が必要な場合は以下略と書いていたほうが安全です。

あとは、SEO対策もですね…普通にコーディングしたあとで「SEO対策ができてないんだけど」と言われて、そりゃやってないものと憤慨するより、最初からSEO対策は含んでませんと書いておいたほうがいいです。

SEO対策してくださいと言われたら、「詳しくはわからないので、どこをどうすればいいか教えてください」と言うことにしています。ただし、最低限セマンティックコーディングは心がけたほうがいいでしょう。

脱線しましたが、こういったリスクを未然に防ぐことは金額を決める立場では非常に重要になるので、がんばってできるようになりましょう。だいたい1回は失敗して損するので、次から気を付ける心持ちでいいと思います。

プラグインを使う場合のリスクと代替案

こちらもなかなか、やってみないとわからない部分もあるのですが、もしわかるのであれば最初に説明してあげたほうがいいです。

例えば、メルマガシステム

WordPressのメルマガは、プラグインを使用すれば実装可能ではありますが、レンタルサーバーからのメルマガ配信は思うようにいかない場合が多いです。じゃあ専有サーバーにすればいいんじゃないかと言われますが、専有サーバーに比べれば、レンタルサーバー+メルマガ配信サービスのほうがはるかに安いし、機能的にも素敵です。

なので、「プラグインを使えば実装はできますが、動作が安定しません。確実性を求めるのであれば、メルマガ配信サービスのほうがいいと思いますよ」と言ってあげましょう。

あとはSNSへの自動投稿もそうですね。

  • 簡単だし安いけど動作が安定しないプラグイン
  • めっちゃ高いし実装に時間かかるし、実際に認証されるかわからないけどサポートはできるオリジナルシステム(ただしSNSの仕様変更で使えなくなる可能性はある)
  • 面倒だが、無料で間違いなく確実にできる手動投稿

上記の中から選ばせてあげましょう。まぁ無料のやつを選ぶんじゃないですかね。

クライアントは当然、システム的なことであればなんでも具現化できると思っていますので、できる・できないはきちんと説明してあげる必要があります。そのためには、自分の経験も必要ですけどね。

まとめ

以上、現在僕が見積もりの際に気を付けていることを書きました。結論、自分も相手も納得できる値段というのが肝だと思います。

僕自身、他のフリーランスの方の見積もりをあまり見たことがないのでほとんどが自分の考えになってしまっていますが、「それは違うよ!」とか「こういうのもいいよ!」ってのがあれば教えてほしいです。

自分に値段をつけるというのはなんだか恐れ多い気もするかもしれませんが、フリーランスは、もっと自分に自信をもって値段をつけてください。相手に言われた値段で納得できない場合は、無理に請けなくていいんです。

ランサーズとか見てると、ほとんどがあり得ないような低価格で募集されていて、そしてそれに提案がそこそこあるんですよね。もっと自分を大事にしましょう。

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