「新規に事業するから、ホームページ作ってもらおうと思って制作会社に電話して料金聞いてみたけど、高すぎて無理…自分で作るか…」
そして知識もないのに自分で作った結果、明らかに素人が作った見るに堪えないホームページになってしまい、結局ホームページがほとんど機能しないまま後でプロに頼むことになる…そんなパターンを僕は何件も見てきました。
僕は制作会社に技術責任者として勤めていたので、制作の見積もりをいつも作っていました。今もフリーランスで制作をやっていますので、見積もりを作ります。ただ、高いですよね…わかります。でも、高いのには理由があるんです。
今回は、制作側の立場からなぜ制作会社にホームページ制作を頼むと高いのかという理由を説明するとともに、できるだけ安く済ませる方法を紹介します。だから、どうか知識もなく自分で無料で作ろうとしないでください。
高額の理由は、”フルオーダー”にあり
なぜ制作会社に頼むとそんなに高いんでしょうか。安くても30万とか、一般的には50~100万くらいかかりますよね。
その理由は、フルオーダーでゼロからサイトを作り上げることを前提としているからです。
ゼロから作るとなると、そこには様々な工数が発生します。例えば以下のような感じ。
- ディレクション
- コピーライティング
- 撮影、もしくは画像素材の購入
- デザイン
- コーディング
- システム構築
- サーバー、ドメインの取得・管理
何を言っているのかわからないと思うので、それぞれどのようなものかざっくり解説します。
ディレクション
クライアントからヒアリングを行いサイトのデザインや構成を考えたり、スケジュールやタスクをスタッフに割り振ったりする、いわゆる「監督」のようなものです。
ヒアリングではホームページを作る目的や背景、そして要望を聞きだし、最適なサイト構成を導き出します。また、スタッフのスケジュールや能力を把握し無理のない納期を設定し、関わる全ての人間と連絡をとりながら進行を管理します。知らない人からは「何この項目いらんやろ」と思われがちな部分ですが、実はけっこう大変なんです。
コピーライティング
ホームページに載せる文章やキャッチコピーなどを考える工程です。どのページにどんな情報を載せるかというのはディレクションの段階でだいたい決まっていますが、この段階でもっと詳しく情報を整理し、ワイヤーフレームを作り、校正も行っていきます。
撮影
場合によっては、カメラマンを連れてクライアントの職場に訪れ商品や人物、内観・外観などの撮影をします。人を使いますので、もちろんお金がかかります。
撮影なしで写真素材でいいパターンもありますが、フリー素材とか正直制作ではあんまり使わないと思うので、基本は有料素材サイトから高品質な画像を購入して使います
デザイン
いよいよデザインです。ここがやっぱりかなり工数かかりますね。
ワイヤーフレームからデザインをおこし、プロの素敵なデザイナー様たちが抜群のセンスでブラッシュアップを行っていきます。ここではクライアントとやり取りをしながら、希望のデザインに近づけるようがんばる部分なので、かなり時間がかかる想定となっています。
コーディング
コーディングはデザインモックアップをブラウザで見られるようにするよう、html,cssをゴリゴリ書いていきます。
この段階では、見た目や仕様はほとんど決まっているためデザインよりかは工数少な目の場合が多いと思いますが、それでもトップページをゼロから作るとなると半日くらいは余裕でかかりますので、うーん高いなーという感じになると思います。
ただし、ここでjavascriptをめっちゃ書かないといけない場合(アニメーションとか、サイトの動きが凝ってる)、実装にすごい時間がかかりますので恐ろしい値段になります。怖いですね。
システム構築
お問い合わせや予約フォームであったり、CMS(コンテンツマネジメントシステム)の組み込みであったり、SNSとの連携であったり、ホームページに何か機能をつける場合に発生します。
通常のホームページであれば、今はphpという言語を使うことが多いと思います。これはhtmlやcssコーディングとはまた違ったもので、構築に時間がかかります。
サーバー、ドメインの取得・管理
制作会社でゼロからホームページを作る場合、レンタルサーバーとドメインを契約し、制作会社で管理をする場合が多いと思います。
サイトのリニューアルを頼まれたときは、「どこでこのレンタルサーバーの情報を手に入れて使っとんやろか…」と思うレベルの謎の低スペックサーバーを使っていることがけっこうあって我々エンジニアは泣きそうになります。
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どうでしょうか。フルオーダーでの制作はけっこういろんなことをしているのがお分かりいただけたかと思います。
これに対し、一般的には「人日」という計算方法で見積もりが出されます。例えば、一人が一日かけて作業してようやく完了する工数は「1人日」です。そして、1人日はだいたい4~6万くらいすることが多いと思います。
つまり、4日かかる作業があるとしたら単純に4倍になる(=20万くらい)ということです。やばい。
これが、制作会社に頼むと高くなる理由です。「作業した時間を売る」という見積もり方法が一般的なので、フルオーダーだとすごいことになるというわけですね。
制作会社に安く頼む方法はあるのか?
あります。
フルオーダーだから高いということは、つまりフルオーダーじゃなければ金額が抑えられるということです。
例えば以下のような方法で、工数を減らすことができます。
テキストや素材を提供する
「載せる文章や使う写真はこっちで考えて渡します!」というパターンですね。
そうすれば制作会社側は、校正や写真の加工は必要になりますが、大幅に工数を削減できます。ただし、「めっちゃ加工しないと使えない写真をどうしても使ってほしいという無茶振り」をすると、もしかしたら追加費用を請求されるかもしれないです。
WordPressのテンプレートを使用する
これが一番工数削減効果が高いです。見積りを頼むときに、「WordPressテーマを使って安くしたいんですけど…」と言ってみましょう。もしかすると制作会社によってはできないと言われることもあるかもしれませんが、できる会社は少なくないでしょう。僕だったら喜んでお請けします。
WordPressとは、CMS(コンテンツマネジメントシステム)と呼ばれるソフトウェアの一つで、世界中のホームページで圧倒的に使われています。
WordPressのテンプレートを使えば、例えば以下のようなサイトが簡単に作れてしまいます。
すごい。
もはやサイトの構成やデザイン、コーディング、システム構築が完成されていますので、工数を大幅に削ることができます。
実はこういったWordPressテーマは、コーディングの知識がなくても、管理画面から画像や文章を設定してレイアウトやコンテンツを編集することができるので、自分でプロ並みのホームページを作ることも可能です。
ただ、それでもやはりWordPressを理解し構築するのは時間がかかりますし、どんなテーマがいいのかイマイチわかりづらいと思いますので、ホームページ制作に精通しているプロに任せたほうが手っ取り早く見栄えも良いサイトになるのは間違いないです。
最初は必要なページのみ作り、徐々にコンテンツを増やしていく
予算がない最初の段階でホームページを完璧に作り込もうとせず、とりあえず最低限機能するホームページを作っておき、ホームページから集客しながら事業を拡大させるとともに、徐々にコンテンツを追加していく、といった方法もかなり有効です。
このパターンで見積もりをお願いするときは、コンテンツを追加するときの見積もりも一緒に頼んでおくといいでしょう。
おわり
引越しや家を建てるときと同じで、何にいったいそんなにお金がかかるのかを少しでも理解しておくと、なんとか安くする方法はないかと相談しながら進めることができます。
そのうえで、いろんな制作会社から見積もりをもらうのもありですね。会社によって全然値段の付け方が違ったりするので、少なくとも2社には見積もってもらうといいと思います。
ちなみにですが、見積もりを頼むときは電話よりメールのほうがいいですよ。本記事で書いたように制作にはいろんな工程があり意外と複雑なので、すぐに正確な見積もりを出せない場合が多いんですね。
なので、「新規にホームページ作りたいんだけど、だいたいでいいから今すぐ料金教えてくれん?」といきなり電話しても、制作側としてはまったくどんなものを作りたいかわからないので「うーん…制作の内容によってかなり変わってきますが、最低でも50万くらいは見ておいた方がいいと思います…」と言うしかなくなってしまいます。
メールで、もしくは直接会って詳しい話を聞きながら、相談していくのがベストです。
ではでは、良いホームページを作りましょう!