先日、はじめてWebサービス「SAKEBE」を個人開発し、リリースしました。
どんなサービスかというと、入力したテキストをイラストの吹き出しに乗せて、ツイッターとかでシェアできるよといったサービスなんですが、残念ながら流行りませんでした。
今回はこのサービスを開発しリリースするまでの流れと、リリースしてから行ったこと、そして「このサービスを今後どうするか」ということを記事にしたいと思います。
このサービスを作ろうと思った理由
いつものようにツイッターをぼんやり眺めていたら、オタク界隈でよく見かける「尊い…」というツイートが脳に刺激を与えました。推しが尊すぎて語彙力を失っている状態です。
この「推しへの愛」をどうにかして感情表現を加え、ツイートできないかと思ったのが、本サービスSAKEBEの発端です。
で、企画しているうちに「別に推しへの愛だけでなくても、叫びたいことをイラストに乗せて叫ぶことができれば…」と思うに至り、こうなりました。
開発の流れ
設計
まずは設計です。設計といっても誰かに提出するわけではないので、箇条書きレベルでぱぱっと作っちゃいます。
必要な機能を洗い出し、それに伴う必要なページ、そして何を使って実装するかを決めました。
開発については、リーンスタートアップという概念を心がけています。
リーンスタートアップとは、「必要最低限の機能でぱぱっとリリースして、フィードバックを得て、成長させる」という考え方で、効率よくPDCAサイクルを回せるとされています。かみ砕いて言うと、まずコアとなる部分がウケるかどうかわからないのに、最初からその他いろんな機能をつけたり細かい部分に気を配ってても時間の無駄だよということです。
というわけで今回の「必要最低限の機能」はこちら。
- 入力したテキストをキャラクター画像と合成し、画像にしてシェアできる。
- キャラクターは数種類の中から選べる。
- ユーザーが作った叫びは、サイト上から閲覧できる。
たったこんだけですね。機能部分だけでいうと2~3日でできます。
サーバーはAWSを使おうか悩んだんですが、エックスサーバーで十分いけそうだったので、エックスサーバーにしました。他のブログやサイトなんかも全部エックスサーバーでやってます。
デザイン
今回のキモは「イラストに乗せる」という部分なので、イラストが必要です。というわけで、おなじみ「いらすとや」さんのイラストを使わせていただきました。いつもありがとうございます。
あとは、UIですね。基本的に使いやすさ重視なんですが、もちろん広告を入れないと無収入なので、広告とUIのバランスには少し気を使いました。
色合いは、下記の記事の要領で決めました。
デザインって難しいですよね。僕はデザインをあまりしないので、かなり小規模のサービスですが、そこそこ時間かかりました。
実装
実装について、詳しくはまた別の記事にて書こうと思っていますが、キモとなったのは以下3つの機能。
- 指定した要素をレンダリングしてcanvasに変換する「html2canvas」
- 変換したcanvasをサーバーにアップロードする機能
- ユーザーが入力した情報をもとに記事を作成するwp_insert_post()
どれも今回初めて実装しましたが、割と簡単で助かりました。
リリース
さぁ、ついにリリース!まずは自分で使ってみようということで、さっそく使ってシェアしてみました。
できたああああああああああ https://t.co/BWtoDLNuMr #SAKEBE
— みやけ@フリーランス (@zeroichi69) 2018年9月29日
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反応、なし!(笑)
もちろんサービスの宣伝もしましたし、3アカウント全部で使ってみましたが、一切反応なし!
いちおうサイトへのアクセスはちょっとだけあったんですが、誰も使ってくれませんでした。うーんなんてこった。ここから先は正直、個人開発初心者の僕にとっては未知の領域でした。どうしたらいいかわかりません。そもそも使ってもらってフィードバックを得ないと、成長も何もあったもんじゃないです。
何にもわからないまま終わる、そんなのはいやだ。
Twitter広告を試してみた
というわけで、マーケティングを開始。マーケティングなくしてサービスが広まることはそうそうない、とりあえずそれはわかりました。非常に大きな前進と言えるでしょう。
SAKEBEのターゲットはツイッターユーザーなので、まずはTwitter広告を試してみました。といっても何もわからないのにいきなり大金をつぎ込むのも頭が悪いので、ひとまずお試しということで、一日200円で5日間。計1,000円です。しょぼっ。いや怖いんですよ。あんま個人とかで広告出さないじゃないですか?
しかしそれでもなかなかの結果に。ちょっと理由あって3日目にして広告を停止しちゃったんですが、200円×3日で広告のインプレッション数1,597回、そのうちクリックが16回となりました。まぁまぁコスパいいんじゃないかと思いました。
ただ、なんでやめたかというと…クリック16回のうち使ってくれた人が3人、そのうちシェアしてくれたのは一人、しかもバグっていたという散々な結果だったからです!
バグはシェアしても画像が表示されないというこのサービスの根本を否定するバグだったためすぐ直したんですが、それにしても誰も使ってくれない。
こんだけ使われないということは、もはやサービスに使う価値がないということを認めざるを得ませんでした。
これでは広告なんか出してる場合じゃないということで、即広告を停止し次の手段に出ました。
無理やりフィードバックをもらう
そういえば、フィードバックをもらう機能をつけてませんでした。
よくあるサービスやアプリなんかだと、使ってる途中で「このサービスはどんな感じですか?」みたいなアンケートが出ると思うんですが、それをつけるのも大事だなーというのも、今回得られた知見です。
ただしそれも使ってもらえなければ意味ないです。そこで、無理やりフィードバックを得る方法を見つけました。そう、ランサーズです。
ランサーズには、プロジェクトやコンペの他に、「タスク」という形式があります。これはどういったものかというと、プロジェクトやコンペは多数応募してその中から一人選んで、仕事を頼む、もしくは報酬を支払う、といった形式なのに対し、タスクは最初に予算を設定し、多数のランサーに1回何円かで同じ作業をしてもらうといった形式です。
要は、アンケートや体験談、レビューなどを1人につき何円で大量に募集できるんです。便利です。ただもちろん全員が素敵な心の持ち主なわけではないので、何割かはズルをすると思いますが、それはたぶん何やっても一緒かなと思って諦めました。
実際に得られたフィードバック
まだ途中なんですが、もう結構十分な量のフィードバックを得ることができました。
そう、もう十分です…もうわかりました…
ちなみにアンケートの内容は以下の通りです。
- このサービスをシェアしたいと思いましたか?
- 不具合・不便はありましたか?
- わかりづらい点はありましたか?
- 改善点があれば教えてください
一部ですが、実際にいただいたフィードバックと、それに対する僕の思いを紹介します。そして、僕がこのサービスもうだめなんちゃうと思った理由もこの中にあります。おもしろいのもありますので、楽しんでいってくださいね!
※ちなみに、おもしろい、わかりやすい等ありがたいフィードバックもいただきましたが、そちらは記載してもしょうがないので載せてません。ただ…とてもうれしかったです😊
このサービスをシェアしたいと思いましたか?
- 思う…7
- 少しは思う…12
- あまり思わない…12
- まったく思わない…1
という結果になりました。微妙ですが、「あまり思わない」にけっこうな票が入ってるところを見ると、要するにおもしろくないんでしょうね。オッケーです。
不具合・不便はありましたか?
- バッテリーがすぐなくなってしまう。
- →それはサービスのせいなの!?スマホ買い換えたほうがいいんじゃない!?
- 簡単なのでないですが、キャラが可愛くないです。
- →あ、あぁ~。う~んなるほどね~
- ツイッターのシェアボタン、IEとクロームでは発見できませんでした
- →マジで!?なんでやろ…これだけは謎です。他に同じ不具合のフィードバックはありませんでした。
- ニックネームはTwitterに乗せるときに何の意味があるのでしょうか?ニックネームよりタイトルとかのほうがOOさんの叫びより#つけてのタイトルとかのほうが書きやすいです
- →ほーなるほど。今回はログイン機能がないので、ニックネームいれる箇所を作ったんですよね。ありがたい意見ですが、まぁ一旦置いときましょう。
- 叫ぶキャラクターが教科書のキャラしかないのが残念です
- →いらすとやさんのイラストって教科書にも使われてるんだ!すご!
- ニックネームに文字制限があるので、入力文字数が出るとありがたい
- →確かに、入力中に「残り何文字」って出ると使いやすいですよね。ありがとうございます。
- シンプルに作られているし、見やすいので良いと思うがシンプルさが逆に変なサイトに飛んだりclick詐欺にひっかからないあか、不安にはなった
- →疑心暗鬼になりすぎでは…大丈夫だよ…でもこう思うユーザーもいるんだなと思いました。勉強になりますね。
- データの消費が早い。料金が高い。
- →そんな重いデータ扱ってたかなとも思ったんですが、そういえばけっこう画像もありますもんね…う~んこれは以後考えたほうがよさそうですね。
- 叫びの画像を選択する場面で、自分が何を選択しているかパッと見ただけではわからなかったです。
- →背景が赤くなるだけじゃわかりづらかったユーザーもいるみたいですね。以後もっとわかりやすくなるよう気をつけます。
- 名前がツイッターの名前を書くのか悩みました。
- →説明文をもう少しわかりやすく書いたほうがよかったですね。
- スペース配分がごちゃごちゃしていて見にくい
- →出た~。だよね~。精進します!
- 叫ぶのとは違う画像、(祈ってたり、泣いてたり)するものが多くその画像で叫べばいいのか解らなかった。
SAKEBEというサービス名が怒りを連想させて、ショックを受けたとか落ち込んだといった時にも使えるサービスというイメージが、事前に湧かなかった
このサイト目的がわかりづらいです。
用途が良くかわりませんでした。
叫ぶキャラクターを選ぶ画面で、どんなフキダシで叫ぶ画像ができるのかわからないな、と思いました。 - →わかりづらい点けっこうありますね。「サイトの目的」「用途」がわからないといわれるともう本当にわからないんだろうなと思うので、説明をもっと詳しくしたり、これをこうしたらどうなるかというのを詳しく説明したほうが親切なんだなと思いました。
- 叫びを一気にサムネイルで見たいと思いました。
- →確かに1個1個がでかいんですよね。もっとうまくまとめられれば…
- 深刻にならないように、面白い感じで使いたいです。
- →深刻さを感じる要素がどっかにあるんですね…誰でも面白く使えるのが一番なんですが。
- アイコン画像を自分で好きなものが載せられると良いと感じました。
- →これねー!そうなんですよね!実は流行ったらその機能追加しようとも思ってたんですが、版権とか著作権とかめんどくさそうなので迷ってました。
- もう少しキャラクターが多いと面白くなりそう
- →お、本当ですか?増やそうかな?
- 使い勝手はよいと思いますが、サービス内容としては無難でインパクトが弱いので、わざわざ使ってみようと気には、なかなかならないかもしれないと感じます
- →うわ~!いたたたた~!! そうか…インパクトが弱くてわざわざ使う気にならない、か…
- 現在でも色んなキャラクターを用い、吹き出し等でコメントを付けるツイートは頻繁に見かけるので素晴らしいアイデアだと思います。現状わざわざサイトを開いてまでやろうと思う魅力がないので、人気のキャラクターを契約したり手軽さを上げるなど工夫があるとよいと思います
- →連続で言われました。魅力がないんだって…
- Twitterに似たようなツール(用意されたGifアニメを投稿時に選べる)があるので、だぶっているような気がします。
- →ほんとだよね!あるわ!!
- イラストがかわいくない
- 種類が少ない
- 自分でアップしたい
- Twitterの機能で似たようなのあるじゃん
- イラストが微妙、種類が少ない…これについてはイラストレーターさんと協力する必要があります。けっこうお金かかりますね。
- 自分でアップしたい…うーん危ないかなー。。思いのほか大変そう。変な画像アップされたら大問題になりますしね。一人じゃ対応しきれなくなると思います。
とりあえず、大きな不具合はなかったようなので安心しました。
わかりづらい点
改善点があれば教えてください
フィードバックまとめ
ポイントは、
という、イラストのバリエーションやクオリティに関する改善、そして
ということです。うーん、そうだね!
で、このサービスどうしようか…
このサービス、成長させるのはちょっと厳しいかなという気はします。
理由としてはさっき紹介したフィードバックのまとめの通りなんですが、
ということで、大事なイラスト部分に弱いというのが大きな要因ですね。僕はいらすとやさんのイラストめっちゃ好きなんですが、世間一般的にみんなそうとは限らないみたいです。
イラスト自体にもっとバリエーションがあって、魅力があればもっと流行るかもしれないというのがフィードバックから得られたヒントでした。ただ、そこを解消するには一人じゃきついということですね。
※2018/10/16 追記
使いづらさで指摘いただいた部分はだいぶ改善しましたが、あとはやはりイラストのクオリティが問題のよう。改善後もフィードバックを集めていましたが、使いにくさへのコメントが減ったぶん「イラストがかわいくない」「自分でアップしたい」の声が増えました。
かわいいイラストを描く人にお願いしようかなと検討中ですが、果たしてそれに合った収入が見込めるかというと微妙なところです。
おわり
はじめてのサービス個人開発、これはおそらく失敗に終わったと言っていいと思いますが、今回の記事で書いてきたように人は失敗から多くを学ぶことができます。
今回の失敗の原因は、「イラストを使う」という部分を軽視していたところにあるように思えます。イラストを自分でできるわけでもないのに、イラストを使うサービスを作るというのは無謀だったようです。もちろんできないことは人に頼めばいいんですが、お金がかかりますし、その費用に対する収入がこのサービスから得られるとは思えません。
もう一つは、マーケティングの重要性。おもしろかったら勝手に拡散されるという事例があったのでいけるかと思ってたんですが、それはつまりバズ。ほぼ宝くじのようなもんです。完全に甘く見てました。マーケティングには途方もない時間、もしくは費用がかかりますので、このサイトに費やすのはちょっと現実的ではないですね。
一回失敗したからといって諦めず、とにかく何が何でもユーザーの声を聞き、どういったサービスが求められているのかを調査する。そして次に活かす。といった一連の流れが実施できたので、むしろこれは成功でしょう!
偉業を成し遂げた発明王エジソンも言っています。「失敗は成功の母」であると。失敗したときにどうするかが大事ですけどね。
それでは、また会いましょう。
コメント
漫画キャラの吹き出しに好きなセリフをいれてシェアしているのをtwitterなどで見かけるのですが、それが面白い理由ってそのキャラが絶対に言わなそうなセリフを言ってるから面白いんじゃないかと思います。
つまりキャラに対する知識が必要という事です。
イラストを外注してそのキャラがいくら高いクオリティでも、誰も知らないオリジナルキャラではキャラについて知識がないので面白く感じないはずです。
なので人気の漫画やアニメのキャラをユーザーがアップして、それに何か言わせるというようにすればそこそこ使ってもらえるんじゃないかという気がします。
勝手に画像をアップされると大変そう問題ですが、とりあえず権利者から怒られたら消して手に負えなくなったら閉鎖するくらいの心構えで良いような気がします。
と、いろいろ思った事を書いてみましたがホントサービス開発って上手くいかないですよね・・・
大変だと思いますが、これからも頑張って下さい。
スズキ様
コメントいただきありがとうございます。
「キャラに対する知識が必要」なるほど、そういうことなんですね…
なかなかユーザー目線で考えるというのは難しいもので、それを実現するための解決方法を考えるというのが開発者の腕の見せ所だと思ってますが、
どうもなんでもかんでもアップできるようにするのは怖かったので…収益メインがAdsenseということもありw
ただ、おっしゃる通りこれくらいのジョーク系サービスならダメになったら閉鎖という心持ちでいいのかもしれませんね。
アドバイスありがとうございました!